Loading...

Loading...

WORKS

木・ワラ・土の家。

伝統工法に、

ワラの圧倒的な断熱、土の気密と蓄熱をあわせたらどうか?と、1996年に実験棟を、そして2006年に自宅をつくってみた。

圧倒的に気持ちよい。

細かい点は、反省点が満載。

完成は未定。

ストローベイル建築を考える

アメリカから、70年代に世界に広まっていったストローベイル建築。
ワラブロックを積み上げて土を塗るシンプルな工法は、世界のセルフビルダーたちの支持を得ている。

やってみたい!そういう問い合わせをいただくことがあるのですが、本当にストローベイルで建てる必要があるかの判断が難しい。

なので、その入り口での情報を提供しようと考えました。

プランの前に・・なぜワラで作るのか?

あらためて考えると良く分からない。

準備も作業も大変で、そんなに安上がりでもない。

でも・・・なぜかまたやりたくなってしまう。

別に木だって土だって、いいんだけど。

ワラに寝転がったときの何とも言えない感じ。

それが、しっかりした壁になったときの、抱きつきたい感じ。

それが土で覆われて、頼もしいあったかい壁になったときの、何とも言えない安心感。

それが魅力かもしれない。

あまった材料が土の上に散乱していても、

なんだか絵になる。

ストローベイル工法

木、ワラ、土など、身近な材料で健康的な建物ができる。

特別な道具は必要ない。

アメリカの開拓時代に生まれ、70年代に環境問題からリバイバル。

今は、世界中のセルフビルダー達が作っている。

分厚い壁でしっかり断熱、うねる壁の独特な雰囲気・・・

僕も、1996年に「これだ!」と思い、仲間と1棟目を作りました。

今は2棟目になるストローベイルの自宅に住んでいます。

もちろんいいことも、都合の悪いこともそれぞれあります。

それと、作るのにはいろいろと気を付けたいことがあります。

まずは、概要を軽めにご紹介します。

ふつうの建築工事と違うところ

材料の確保、準備期間と打合せが必要

材料
湿度の高い日本(北海道も!)では、ベイル材料は稲ワラがベストと思います。(手に入ればススキなどでも。)

日本の伝統建築では稲ワラがたくさん使われており、数百年たっても繊維の強度が保たれています。本場アメリカは麦が使われますが、それぞれの土地に豊富にあって耐久性のあるものを選びたい。
ワラ準備
ワラは、ストローベイルを建てる前年の春から準備します。農家にお願いし、長い稲ワラを確保します。稲刈りのとき、もし昔ながらの手刈り・はさがけをしている人がいたら、お願いしてワラをわけてもらいます。作業を手伝うとか、ちゃんとお金を支払ったほうがいいと思いますが、まずは話を聞いてみて。

長いワラが手に入ったら、それをしっかり乾燥し、そのあと「コンパクトベーラー」で、四角く加工する必要があります。コンバインから出てきたワラは、そのままは使えません。絶対に乾燥が必要です!
土の仕込み
もし土を塗って仕上げたいなら、「荒壁用の土」を、施工の半年くらい前から発酵させておく必要があります。材料は、強度のある粘土と、2寸にカットした稲ワラ(土と同量くらい)です。耕うん機で練り合わせて、シートをかけておきます。
ワラ保管、ワラ積み
コンパクトベイルは、冬を越すとネズミにかじられるかも。できれば春・夏に作って壁を積んでしまい、その年のうちに塗ってしまう。ベイルを積むには、竹や木・縄の下地が必要です。思い切り蹴ってもびくともしない状態にしたいです。
土塗り
土を塗ったら、乾かすのも数ヶ月かかります。北海道で一番ものが乾くのが、5~6月。次が7~8月。それ以降はかなり乾きが遅い。最低2ヶ月はおきたい。

土を塗っている作業中は、大工さんが仕事できない場合もあります。その分、工期を余計にとっておく必要があります。土を塗る仕上げの厚みが部屋によって違う場合が多く、柱まわりの加工も、最初から計算しておかなくてはなりません。(これは伝統工法のきっちりした仕上げの場合)

いろんなことが、普通の建物と違います。建てると決めたら、設計段階から工務店や設計士とワラのことや土のことも打合せしないと、形になりません。自分でつくる場合も、準備することは同じです。いきなり始めるのもスリルがあっていいですが、できればワークショップに参加して感触をつかむのがお勧めです。

スペースが必要

写真に写っているのが、1個のベイル。これを何百個も壁に積むわけです。ワラを半分に切ったり、柱に合わせてくりぬく作業をします。それから、ベイルが雨にぬれないように、建物のすぐそばにストックしてシートをかけます。

土も、何トンも使います。それを置いておく場所、練る場所もいります。車を7~8台分のスペースを、ワラと土用の保管用と、作業用に確保したいですね。これをやっておくと、仕事のはかどり具合が全然違います。

ストローベイルは安い?

自分たちで全部やれば、安い!
時間の融通がきく、農家や建設系の人が友達にいる、現場や素材のトラブルにも工夫で乗り切れるバイタリティがある、そして喜んで手伝ってくれる友達がたくさんいる人には、お勧め。でも、なかなかそんな環境はそろわないかも知れませんね。
コストアップもある
時間の融通がきく、農家や建設系の人が友達にいる、現場や素材のトラブルにも工夫で乗り切れるバイタリティがある、そして喜んで手伝ってくれる友達がたくさんいる人には、お勧め。でも、なかなかそんな環境はそろわないかも知れませんね。
自分たちで全部やれば、安い!
ストローベイルには、コストアップ要因もあります。まず、ストローベイルは壁が厚い。50~60cmもある。だから、基礎コンクリートも余計にかかり、窓は出窓のような作りになり、屋根も大きくなります。その分は、どうしてもコストアップになります。

そして、大工、左官に全部頼むと、すごく高い。そこで、「ワークショップで」と考える人が多いのです。。。安くあげるために手伝いを集めよう、と考えがちですが、できた壁の強度が足りなかったり、気密・防水がうまくいかなかったりトラブルもあります。一度塗った壁を全部はがして塗りなおすのを手伝ったことがあります。
ワークショップは何のため?
プロの指導のもとに、ボランティアだけど仕事として参加してもらう、その代わり得るものも多い、という、「本気のワークショップ」が必要だと痛感しています。たまに使う小屋くらいならいいのですが、住宅となると十分な気密・断熱と強度が必要です。ワークショップは手間がかかるわりに、住宅の性能をあげるのが難しい。コストダウンのため、と考えず、興味のある人たちの参加の機会をつくり、結果として自分たちの家づくりも進む、くらいに割り切るほうがいいのではないかと思います。本気のワークショップをやると、集まる人たちの熱もあり、仕事もはかどり、みんながセミプロ集団となって、すべてがいい方向に動く気がします。

もちろん初めてのメンバーのチームで、いつも成功するとは限りませんが、コンセプトをはっきりし、一定のハードルはあったほうがいいと考えています。ワークショップ中は、施主が現場になかなか入れないことも多く、お父さんは次々に来るお客さんの相手、お母さんはご飯支度で終わってしまった、ということもよくあります。どうしてもボランティアに遠慮してしまい、もっと丁寧に、こうして、とはなかなか言えないものです。

だから、施主とは別に、指導者がいるのがいい、と思っています。施主のこだわりは設計者やWS指導者に伝えておけばよく、WS当日は一参加者として作業に集中できます。指導者は、参加者の達成感と、壁の仕上がりや強度に集中できます。

結い
それと、こういう建物は、手間をやりとりする「手間がえし」が大事。自分が手伝ってもらったら、他のワークショップで誰かを手伝う。

そんな、現代の「結い」みたいにできたら、自然素材の手作りの家が増えていくと思います。
ストローベイルのつくり方
1.稲ワラでつくる
稲ワラでつくる場合は、春から農家にお願いしておきます。稲刈りのとき、コンバインで細かくワラを刻んでしまうのですが、これは短くて使えません。ワラを切らないようにもできる場合があるので、それを調べて、お願いしておきます。忙しいときに面倒な作業になってしまうので、少ない面積でのんびり稲作している方がいいかもしれません。

集めたワラは、しっかり乾燥して保管。ネズミの入れない納屋があればいいのですが、なければ、縛らない状態で冬を越し、「今年建てるぞ!」という春に縛って使うのがベストです。ネズミにとっては、最高の食料貯蔵庫と寝床です。
2.麦ワラでつくる
麦ワラなら、ロール状態で流通しているそうです。近くに酪農家がいれば聞いてみて下さい。写真は、ロールをほぐして、ベイラー(ベーラー)に投入しているところ。炎天下のほこりまみれの作業です・・・

以前麦ワラのベイルを見ましたが、茎が太く粗いためフワフワして強度が足りませんでした。

また稲ワラは湿度に強く、土壁の中で何百年も強度を保つことができます。おそらく稲ワラのほうがベイルに適していると思います。また、各地のストローベイル建築では、ススキなども使っています。これも長持ちすると思いますが、手で集めるのはかなり大変なので、トラクターで刈れる、平坦で広いススキ群落があれば最高です。なかなかそういう場所は少ない。。。。
右の写真で積んであるベイルで30個くらい?写真のロールから25個くらい作れます。日がのぼって朝露が消えたら作業開始。(だから暑い)2人で、1日150個くらい作りました。トラクター固定で作る場合は、ワラをほぐしながら突っ込んでいきますが、入れるスピード・量をなるべく一定にします。

トラクターで、刈り取ったワラを集めながら縛っていくこともできますが、北海道の稲刈り時期は雨が多く、農家も忙しいのでちょっと非現実的かもしれません。農家が自分でベイルづくりするならいいのですが。

稲ワラにしても、麦ワラにしても、しっかりしたベイルが必要です。
幅550mm、長さ800mm、高さ400mmくらいなら、15~16kgくらい、上で飛び跳ねても形が変わらないくらい。
ベイラーによってサイズは変わります。
長さの調整はできますが、左の写真のとおり、四角い筒の中から押し出されてくるので、幅と高さは調整できません。
ちゃんと動くベイラーを手に入れて、できたベイルのサイズを測っておきます。
それからでないと基礎の設計ができません。

3.購入する
僕は、いつも浦川にある会社に頼んでいます。稲ワラは、ここ旭川から送っています。運賃が高いのが悩みのタネ。でもしっかりしたいいベイルを作ってくれます。価格は・・運賃やワラの値段しだいで変動しますが、1個 1000~1500円くらいです。アメリカならタダだそうですが・・
現在、ワークショップの予定はありません。